2018-05-08 動作テスト
この記事は動作テスト用です。
2018年5月8日、 ふと思い立って「結城浩の数学ノート」というサイトを作り始めました。
数学の問題で\(x\)に関する二次方程式といわれたときに、 \[ ax^2 + bx + c = 0 \] という式が提示されていたら、通常は\(a \neq 0\)という条件が付いているとして考えることになります。 なぜなら「二次方程式」ということわりが入っているからです。
でも、きちんとした問題なら最初から、 \[ ax^2 + bx + c = 0 \qquad (a \neq 0) \] のように、\(a \neq 0\)という条件がしっかり明記されているはずですけれどね。
https://story.hyuki.net/20160705212220/
10.times do |f|
puts "Hello!"
end
僕「合成関数の微分というのは、要するに、 \[ \frac{dy}{dt} = \frac{dy}{dx} \cdot \frac{dx}{dt} \] ということなんだから、微小な変化をとって極限を求めればいいよね。 微小な変化のところは分数として扱えばいいんだ」
ミルカ「それで?」
僕「たとえば、\(t\)が\(\Delta t\)だけ変化したとき、 \(x\)が\(\Delta x\)変化し、\(y\)が\(\Delta y\)だけ変化したとする。 そのとき、 \[ \frac{\Delta y}{\Delta t} \] の極限が求めるものだから、証明は終わりになるんじゃないの?」
ミルカ「具体的には?」
僕「具体的には……そうだね。うん。 極限を取る前は、微小な変化は、ただの分数として扱えるんだから、\(\Delta x\)をあいだに噛ませてやればいい。 そうすれば、この等式が成り立つよね」
\[ \frac{\Delta y}{\Delta t} = \frac{\Delta y}{\Delta x} \cdot \frac{\Delta x}{\Delta t} \]
テトラ「あ、これは普通の分数の掛け算なのですね」
僕「うん、そうだよ。\(\Delta t, \Delta x, \Delta y\)は全部ただの数だから。 それで、いま\(\Delta t \to 0\)という極限をとると、 微分可能性が仮定されているから、 \[ \frac{\Delta y}{\Delta x} \to \frac{dy}{dx}, \qquad \frac{\Delta x}{\Delta t} \to \frac{dx}{dt} \] が成り立つよね。だから、 \[ \frac{dy}{dt} = \frac{dy}{dx} \cdot \frac{dx}{dt} \] が成り立つ……で証明終わり。ライプニッツの表記の優れたところだよね。すごく自然だ。 で、どこがおもしろいの?」
ミルカ「高木貞治の『解析概論』では、それが《粗雑な証明》と表現されていた」
僕「へえ……なぜだろう」
ミルカ「君の書いたこの式にミスがある」
\[ \frac{\Delta y}{\Delta t} = \frac{\Delta y}{\Delta x} \cdot \frac{\Delta x}{\Delta t} \]
僕「え、どこが?」
ミルカ「《ゼロ割り》の危険性がある。分数を考えるときの最重要ポイントを忘れてはいけない」
僕「うっ……でも、それはおかしいよ。だって、\(\Delta t \to 0\)の極限は取るけれど、\(0\)にするわけじゃないから」
ミルカ「違う、そこじゃない。\(\Delta t\)というのは\(t\)の微小な変化だろう?」
僕「そうだよ。\(0\)じゃない」
ミルカ「\(t\)が微小な変化をするとき、\(x\)が変化する保証はどこにあるんだろうか」
僕「……?」
ミルカ「\(\frac{\Delta y}{\Delta x}\)と\(\frac{\Delta x}{\Delta t}\)を個別に考えているときは問題ない。 《\(x\)を動かして\(y\)の変化を見る》のも《\(t\)を動かして\(x\)の変化を見る》のもいい。 \(\Delta x \neq 0\)だし\(\Delta t \neq 0\)で考えられる。 ここで、\(\Delta t, \Delta x, \Delta y\)という記号にだまされてはいけない」
僕「あ」
ミルカ「ここで、\(t\)を動かして\(y\)の変化を考えようというとき、 \(t\)を動かしたときに\(x\)の変化が\(0\)でない保証はない……だろう?」
僕「そうか……そのときは、\(\Delta t \neq 0\)だとしても\(\Delta x = 0\)になることはありうるのか」
ミルカ「泥臭いけれど、ゼロ割りを避けて証明すればいい。\(\frac{\Delta y}{\Delta x}\)を\(f'(x)\)の近似と見なし、 そのずれを\(u\)としよう。つまり、 \[ u = \dfrac{\Delta y}{\Delta x} - f'(x) \] すなわち、 \[ \Delta y = f'(x)\Delta x + u\Delta x \] となる。同様に、 \[ v = \dfrac{\Delta x}{\Delta t} - g'(t) \] を考えて、 \[ \Delta x = g'(t)\Delta t + v\Delta t \] とおける。あとは、 \[ \begin{cases} \Delta y &= f'(x)\Delta x + u\Delta x \\ \Delta x &= g'(t)\Delta t + v\Delta t \\ \end{cases} \] から\(\Delta x\)を消去すれば、 \[ \Delta y = f'(x)\cdot g'(t)\Delta t + (ug'(t) + vf'(x) + uv)\Delta t \] を得る。ここまで来れば、\(\Delta t \to 0\)のときに、 \[ \frac{\Delta y}{\Delta t} \to f'(x)\cdot g'(t) \] であることは、容易にわかる。すなわち、 \[ \frac{dy}{dt} = \frac{dy}{dx} \cdot \frac{dx}{dt} \] が得られた」
「数学ガールの秘密ノート」第140回 曲がり曲がる(後編)より
2018-05-08 動作テスト