2018-02-26    問題    三角関数    論理    任意    絶対値  

 $|\sin x| < 1+a$

問題

次の命題は真か偽か。

命題:任意の正の実数\(a\)と任意の実数\(x\)に対して、 \[ |\sin x| < 1+a \] である。

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解答

真です。

証明

任意の正の実数\(a\)に対して、\(0 < a\) です。両辺に\(1\)を加えると、\(1 < 1 + a\)です。

任意の実数\(x\)に対して、\(|\sin x| \leqq 1\)ですから、 \[ |\sin x| \leqq 1 < 1+a \] がいえて、 \[ |\sin x| < 1+a \] が成り立ちます。

(証明終わり)

参考

「任意の正の実数\(a\)と任意の実数\(x\)に対して \(|\sin x| < 1+a\)である」は真ですが、「任意の実数\(x\)に対して \(|\sin x| < 1\) である」は偽です。\(x = \pi/2\)が反例です。

なお「任意の実数\(x\)に対して\(|\sin x| < 1\)である」は、真か偽かどちらかです(この場合は「偽」)。「真であるとも偽であるともいえない」や「\(x\)の値によって決まる」という答えにはなりません。

\(|\sin x| < 1\)である」の場合には、\(x\)の値によって真のときも偽のときもあります。それは\(x\)という自由な変数があるからです。「\(|\sin x| < 1\)である」と「任意の実数\(x\)に対して\(|\sin x| < 1\)である」との違いに注意してください。

\(P(x)\)と、\(\forall x [P(x)]\) とは違いますよ、という話です。\(P(x)\)\(x\)に関する述語(\(x\)に関する条件)で、\(\forall x[P(x)]\)は命題(文)などと呼ばれています。\(P(x)\)を既知としたとき、\(P(x)\)\(x\)が具体的に与えられないと通常は真偽が決まりませんが、\(\forall x [P(x)]\)は通常は真偽が決まります。

  • \(|\sin x| < 1\)は、\(x\)に関する述語(条件)であり、自由な変数\(x\)の値を決めないと真偽は決まりません。
  • \(\forall x[|\sin x| < 1]\)は、命題(文)であり、すべての\(x\)について\(|\sin x| < 1\)が真のときに真になります。

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