2017-09-30    集合    要素    証明    林晋    ゲーデル  

集合は要素で決まる

集合は要素で決まります。集合\(\{1,2,3\}\)\(A\)と名前をつけようが\(B\)と名前をつけようが集合としては等しくなります。任意の\(x\)について\(x \in A\)\(x \in B\)が同値ならば、\(A=B\)がいえます。

集合\(A\)と集合\(B\)とが等しいことを証明するときには\(A \subset B\)\(B \subset A\)の両方を証明します。そして\(A \subset B\)を証明するときには、\(A\)の任意の要素\(a\)が、\(B\)の要素でもあることを証明します。

結局、\(A=B\)を証明するには、\(A\)の任意の要素が\(B\)の要素でもあり、\(B\)の任意の要素が\(A\)の要素でもあることを証明することになるわけです。それは、とりもなおさず、任意の\(x\)について\(x \in A\)\(x \in B\)が同値であることを証明していることになります。

「集合は要素で決まる」とスローガン風に書いた内容は、「\(\in\)」という演算子が集合にとって最重要であることの言い換えともいえます。外延的に要素を並べて集合を表す場合でも、内包的に条件を使って集合を表す場合でも、要はその集合にとっての「\(\in\)」を定める情報を与えているのです。

そのようなことを結城が学んだ(強く意識して納得した)のは『数学ガール/ゲーデルの不完全性定理』を書いているときでした。

http://www.hyuki.com/girl/goedel.html

ゲーデルが不完全性定理を証明した論文の中に、(ちょっと違うけど)この部分に相当する公理が出てきます。そこには「この公理は、類はその要素により完全に決定される、ということを意味する」というゲーデルの親切な説明が書いてありました。

※「 」内の訳文は林晋『不完全性定理』からの引用です。


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