2019-05-09 質問 最小公倍数 整数 環 多項式
「多項式における最小公倍数」また「整数における最小公倍数」について質問があります。
たとえば「\((x + 2)^2(x + 4)\)と\((x + 2)(x + 4)^2\)の最小公倍数は\((x + 2)^2(x + 4)^2\)」になります。
しかし,それぞれの式に\(x = 0\)を代入すると「\(16\)と\(32\)の最小公倍数は\(64\)」となってしまいます(正しくは\(32\))。
「多項式における最小公倍数」と「整数における最小公倍数」とは別々に考えるべきなのでしょうか。
別々に考えるべきです。
多項式で最小公倍数を考えているときにはたとえば「実数体上の多項式環」で考えていることになります。このとき、たとえば\(x + 2\)という式の\(x\)は\(2\)とはまったく異なるもの(不定元)であり、代入して計算するという操作はできません。
整数で最小公倍数を考えているときには「有理整数環」と呼ばれるもので考えていることになります。
実数体上の多項式環と有理整数環とは、どちらも「環」として似ている部分がたくさんあります。でもごちゃ混ぜにするのはよくありません。
では、どういうところが同じで、どういうところが違うのか。それを精密に研究しているのが代数学の環論という分野になります。
なお『数学ガール/フェルマーの最終定理』には「群」「環」「体」の非常に簡単な例と解説が出てきます。
https://www.hyuki.com/girl/fermat.html
2019-05-09 質問 最小公倍数 整数 環 多項式