2019-02-10 問題 整数 積 倍数 階乗
\(n\)は正の整数とします。\(1\)から始まる\(n\)個の奇数の積を\(2^n\)倍した数は、\(n+1\)から始まる\(n\)個の整数の積に等しいことを証明してください。たとえば\(n = 4\)のとき、 \[ 2^4\cdot1\cdot3\cdot5\cdot7 = 5\cdot6\cdot7\cdot8 \] が成り立ちます。
解答表示
わかりやすいように\(n=4\)で流れを示します。\(1\)から\(8\)までの整数の積を、奇数の積と偶数の積に分けると以下の式が成り立ちます。 \[ \begin{align*} (1\cdot3\cdot5\cdot7)\cdot(2\cdot4\cdot6\cdot8) &= 1\cdot2\cdot3\cdot4\cdot5\cdot6\cdot7\cdot8 \\ \end{align*} \] 左辺の偶数の積から\(2^4\)をくくり出します。 \[ \begin{align*} (1\cdot3\cdot5\cdot7)\cdot2^4\cdot(1\cdot2\cdot3\cdot4) &= 1\cdot2\cdot3\cdot4\cdot5\cdot6\cdot7\cdot8 \\ \end{align*} \] 両辺を\(1\cdot2\cdot3\cdot4\)で割って、 \[ 2^4\cdot1\cdot3\cdot5\cdot7 = 5\cdot6\cdot7\cdot8 \] を得ます。これで\(n=4\)の場合が示せました。一般の\(n\)についても同様に示すことができます。(証明終わり)
任意の正の整数\(n\)について、 \[ 2^n\prod_{k=1}^n(2k - 1) = \prod_{k=1}^n(n+k) \] が成り立つ。
右辺は、 \[ \prod_{k=1}^n(n+k) = \frac{(2n)!}{n!} \] であるから、 \[ (2n)! = n!\cdot2^n\prod_{k=1}^n(2k - 1) \] をいえばよい。ところで、 \[ n! \cdot 2^n = \prod_{k=1}^n (2k) \] がいえる。だから、 \[ n!\cdot2^n\prod_{k=1}^n(2k - 1) = \prod_{k=1}^n (2k) \times \prod_{k=1}^n(2k - 1) = (2n)! \] がいえる(\(2n\)までの偶数の積と奇数の積に分けている)。(証明終わり)
念のために補足しておきますが、上のような証明を最初から思いつくことは(私には)できません。\(n=1,2,3,4\)くらいを具体的に紙に書いてみて、証明できることがやっとわかって、そこまでにできたぐちゃぐちゃな話の流れを整理して、ようやくまとめられたのです。
最初に思ったのは「\(2^4\)は\(2\)が\(4\)個あるから\(4\)個の数に分配するのだろう」ということでした。\(1 \times 3 \times 5 \times 7\)に分配すると誤解したのですが、「\(5\times6\times 7\times 8\)というのは\(8!\)の下半分をカットしたものだなあ」に気付いてようやくわかりました。「奇数の積と偶数の積で階乗になる」様子が楽しいので問題にしました。
2019-02-10 問題 整数 積 倍数 階乗