2016-07-17 群論 四元群 クライン 巡回群 問題
群\(G\)は位数が\(4\)で、巡回群ではない。\(G\)はどのような群か。
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\(G = \{ e, a, b, c \}\)とする(\(e\)は単位元で\(e,a,b,c\)は互いに異なる)。\(a\)が生成する\(G\)の部分群\(\langle a \rangle\)の位数は、ラグランジュの定理より\(1,2,4\)のいずれかになる。\(G\)が巡回群ではなく、\(a \neq e\)であることから、群\(\langle a \rangle\)の位数は\(2\)となり、元\(a\)の位数は\(2\)である。よって、\(a^2 = e\)である。同様に\(b^2 = e, c^2 = e\)である。
\(a^2 = e, b^2 = e, c^2 = e\)だから、\(a^{-1} = a, b^{-1} = b, c^{-1} = c\)となる。\(G\)の任意の元\(x,y\)について、\(xy = (xy)^{-1} = y^{-1}x^{-1} = yx\)だから、\(G\)は可換群である。
ここで\(ab = c\)を示す。もし\(ab\)が\(e\)に等しいとすると、\(b\)は\(a\)の逆元ということになるが、\(a = a^{-1}\)だから\(a = b\)になってしまう。よって、\(ab \neq e\)である。またもし\(ab\)が\(a\)に等しいとすると、\(b = e\)になってしまうから\(ab \neq a\)である。同様に\(ab \neq b\)である。よって、\(ab = c\)がいえる。
\(aab = eb = b, bab = abb = a\)などから、群\(G\)の演算表は以下の通り。
\[ \begin{array}{c|cccc} & e & a & b & ab\\ \hline e & e & a & b & ab\\ a & a & e & ab& b \\ b & b & ab& e & a \\ ab& ab& b & a & e \\ \end{array} \]
なお、この群は「クラインの四元群」また「二面体群\(D_2\)」と呼ばれ、巡回群ではない群のうち位数が最小の群と同型である。また位数が\(2\)である\(2\)個の巡回群の直積と同型である。
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